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竹島【蒲郡市】
うみエリア 事業者の声
田原市
道の駅あかばねロコステーション「渥美半島の電照菊フルブルームマム花瓶付5本セット」事業者:株式会社平造園芸 代表 鈴木平造さん
「菊はもともとはお祝いの花。昔は旧暦9月9日の『重陽の節句』に、無病息災や長寿を願って菊を飾る習慣もあった」
こう語るのは田原市赤羽根地区で年間約80万本を栽培する菊農家の鈴木平造さん。いつの間にか別れの花という印象が定着してしまった輪菊だが、日頃から花瓶に飾ったり、大切な人に贈ったりするアイテムにしたいと考えている。
生産者のそんな願いが込められた商品が「フルブルームマム」だ。マムとは菊の英語名で、フルブルーム(満開)まで大きく育てた花を色鮮やかに染めて販売する。まさに“華やか”な逸品。1カ月ほど日持ちがして、長く楽しめるのも自慢だ。
「飾ればみんなが幸せになるというのが、菊本来の魅力のはず。フルブルームマムを通じて消費者に伝えたいし、われわれ農家も原点を再認識していきたい」と鈴木さんは話してくれた。
全国3分の1のシェアを誇る日本一の菊産地である田原市で、鈴木家は祖父の代から栽培してきた。自身が仕事に就いたのは30数年前。「貧乏な家だったので、自分はどうやって利益を出すかを考えて仕事をした」といい、作付面積も売り上げも3倍に増やした努力家だ。
今では計約9,400平方メートルのハウスを使い、年間を通じて栽培。夏場は「一世」、冬場は「神馬」という品種を出荷する。
田原といえば「電照菊」という栽培方法が有名。菊は日が短くなると花芽をつける性質がある。そこで、電灯で照らして昼間を長く感じさせて、茎の長さや開花時期を調整するのだ。
戦後に隣の豊橋市で考えられた栽培方法で、すぐに田原市でも最初の営利栽培が始まった。1968年に豊川用水が通ると、電照菊はますます盛んになった。
当初は、需要の多い正月から春までの出荷に備えて秋の開花を遅らせるのに使われたが、今では年中活用される。夜の闇の中、点在するハウスが巨大なイルミネーションのようにみえる様子は壮観だ。
こうした技術が進歩しても、立派な花を育てるためには気が抜けない。鈴木さんは「暑い年もあれば、寒い年もあり、気候に左右されるところが大きい。温度で成長の速さが変わるし、日照によって大きくなったり小さくなったりしてしまう」と明かす。
例えば、日照が足りないと花は大きく育たない。そんなときは、花芽をつける前の時間を長くとって葉の枚数を増やしてやり、光合成が十分行われるようにして花の大きさを調整する。
また、冬の寒さが厳しくてハウスの換気をしづらい年は、二酸化炭素(CO2)の濃度が下がって光合成が不足する恐れがある。そんなことがないよう、土にたい肥をすき込み、微生物の呼吸によってCO2濃度を確保するといった工夫も行っている。
地道な作業で出来・不出来の差が出るため、日々の管理が農家の腕の見せどころとなる。
フルブルームマムを道の駅で販売するようになったのは、2019年1月の施設リニューアルがきっかけだった。花売り場「LOCO FLOWER MARKET」が整備され、「フラワービジネスの発信拠点」としての機能が強化されたのだ。
新しい施設で新しい特産品を販売しようという機運が、鈴木さんたちの加入するJA愛知みなみ輪菊部会で盛り上がり、フルブルームマムに白羽の矢が立った。商品化までこぎつけたのは、2020年暮れのことだ。
満開咲きの菊は以前から正月用の商品として一定の需要があったものの、生産されるのは年末が近い一時期に限られていた。
「目先を変える商材になるとは思っていたが、それまでは売るチャンネルがなかった。リニューアルされた道の駅に置いてもらうことで『菊っていいね』という再認識・再発見につなげて、現状を打破したかった」
カラーリングして売り出したのは、道の駅のスタッフのアイデアだ。「スプレーをかけたのか?」と聞かれることもあるそうだが、実際は茎の切り口から染色液を吸わせている。カーネーションやスイートピーではよく使われてきた技術だ。菊は染まらないという固定観念があったものの、実際にやってみると鮮やかに染まった。
「生産者としては白いフルブルームマムを売るものだと思っていた。しかし、カラーリングしてもらったことで、新しいものという認識につながった。若い世代が身近に感じてくれる商品になり、リピーターもついた」
花き生産に加えて野菜生産・畜産が盛んな田原市は、市町村別の農業生産額で全国トップの常連だ。しかし、ここでも担い手減少は悩みの種。鈴木さんは、しおくりん商品の購入を通じて田原を知ってもらうことが、ひいては若い世代の移住につながらないかと期待する。
「渥美半島はなんといっても自然が魅力的。目の前が海なので、サーフィンや釣りを存分に楽しめる。住もうと思えばアパートや分譲地があるし、空き家に引っ越してくるサーファーもいる」
遊びと住居がそろえば、他に必要なのは仕事だろう。鈴木さんは「日本有数の生産地なので、農業をやりながら生活することはできる。年寄りが仕事をやめていく中、チャンスをものにしてみませんか」と呼び掛けている。
道の駅のスタッフの岡田さんと松本さんにインタビューした。
もともと白い菊の花を染めるアイデアは、スタッフの地元のおかあさんが考えたものだ。今では田原市がカラーリングマムに力を入れて宣伝したり、豊橋市の花屋でもカラーリングマムを仕入れたりするなど、少しずつ認知されている。
そしてその芽が生産者の間にも少しずつ広まり、いろいろな色を研究して自ら染めてカラーリングマムとして出荷している生産者もいるなど、生産者の新しい新商品を作るきかっけにもなった。こんな道の駅のアイデアと生産者の想いがつまったカラーリングマムをぜひ東三河に愛着を持つ方にお届けし、故郷の農家を応援してくれるとうれしい。
中部ガス不動産株式会社 emCAMPUS FOOD
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