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茶臼山高原の芝桜【豊根村】

やまエリア 事業者の声

新城市

「自然を間借り」散策楽しめる道の駅
~おふくろの味で心も開放~

道の駅つくで手作り村事業者:有限会社つくで手作り村 産直主任 中川知香さん

広い芝生にミニSL、マス釣り場も

愛知県新城市の作手(つくで)地区は、標高500メートル余りの高原に水田や野菜畑が広がる農村地帯だ。「つくで手作り村」は平成14年、国道301号沿いに開業。その名の通り、地元の女性らによる手作りの食品などが売りの道の駅となっている。
訪ねてみると、敷地の奥行きに驚かされる。一番手前にあるのは直売所「山家市(やまがいち)」とレストラン「味菜館(あじさいかん)」。川を渡った先の農産物加工施設「勇気工房」では、焼きたての五平餅を出してくれる。

その奥に広がる芝生広場にはミニSLの走る線路が敷かれ、川あそびを楽しめる小川が流れる。さらには木工体験などができる工房、ヤギやウサギとのふれあいコーナーまで設けられている。簡易テントを持参して、1日過ごす家族もいるそうだ。
道の駅で直売所を担当して6年目になる中川さんは、この独特のつくりを「自然の中を間借りさせてもらったような空間」と表現。「お客さんには何もかもから開放されて、ゆっくりしていってほしい」と考えている。

県内初の「特A」、ミネアサヒに反響

令和3年3月、作手地区をにぎわすニュースが飛び込んできた。日本穀物検定協会が発表した同2年産米の食味ランキングで、この地区を中心に栽培されるミネアサヒが県内初の「特A」に格付けされたのだ。
栽培面積や流通量が限られ、「幻の米」とも言われる品種。手作り村ではレストランの食事にも、販売する五平餅やおにぎりにも、地元産のミネアサヒを使っている。特A獲得後は問い合わせが相次ぐなど反響は大きかった。
専業農家の父母とともにミネアサヒを栽培する中川さんは、自慢の味を「もっちりしていて、甘みとうまみがよく感じられる。粒が小さいのにがっつりおいしい」と表現。炊きたてだけでなく、冷めた後までうまみが長続きするのも特長という。
直売所では袋入りの米で販売しており、売れ行きは好調だ。「孫が好きだから」「弁当にはこれがいい」とわざわざ買いに来るお客さんがいるそうだ。

手作りで届ける安全・安心

「手作り」「地産」「無添加」の食品をなるべく多く出したいという思いから、スタッフらは「勇気工房」でオリジナルのみそ、漬物を仕込んでいる。中川さんは「地元のものをふんだんに使い、余計なものは入れていない。安全・安心がモットーです」と胸を張る。
みそだけでも「長者味噌」「甘味噌」「金山寺みそ」など種類はさまざま。20~70代の女性が一緒になって作業し、こうじ菌を玄米にまぶして、こうじにするところから始める。地区のおばあちゃん世代から孫世代へ技と味を伝える継承の場にもなっている。

また、直売所では何と言っても、農家の人たちが持ち込む旬の野菜、山菜が大きな魅力だろう。トマト、ホウレンソウやナスなど定番の高原野菜だけでなく、タイミングが合えばトウダイの芽(コシアブラ)、香りと粘りが自慢の自然薯「夢とろろ」、山ごぼうなど個性豊かな味覚に出合える。
中川さんが仕事の中で一番力を入れているのは、これらの産物を持ち込む人たちの思いをじっくり聞くことだ。「『こうやってがんばって作った』『こんな人に食べてもらいたい』。そういう生産者の気持ちを、お客さんに伝えていきたい」。聞き出した内容は、手書きのポップや客との会話に反映させていく。
農家の話に耳を傾ける理由はもう一つある。消費者の安全・安心な食品を選びたいという意識が高まる中、それぞれの産物がどうやって栽培されたのか確かめておくことで、自信をもって薦められるようになるのだ。

いい意味で「何も考えず」食べられる

手作り村が仕送り商品として準備しているのは、「作手高原の朝ごはんセット」「作手産ミネアサヒとハヤシライスのお試しセット」「ほっと一息3時のお茶セット」(いずれも予定)の三つだ。
一帯は冬の寒さが厳しく、道路の凍結で現地を訪れるのが大変になる。そんな季節も、作手の味を通販で楽しんでもらいたいと工夫した。
朝ごはんセットはミネアサヒと味付け海苔、そして手作りの金山寺みそを取り合わせており、ご飯の味をストレートに楽しめる。地区産の黒米(もち米)も添える予定で、ティースプーン1杯分を混ぜて米を炊けば赤飯のようにほのかに色付き、もっちり感もアップする。
ハヤシライスセットはレトルトソースとミネアサヒの組み合わせ。ソースのベースは作手産のトマト「りんか」で、道の駅スタッフが水を一切加えずにじっくり煮詰めたピューレが使われている。レストランでもお土産としても人気の一品だ。

ほっと一息セットは、地元・鈴木製茶の茶葉とおやつの詰め合わせとなる。同じく地元のパン店「麦の家」のクッキーとラスク、作手産トマトを使ったトマト寒天、市内のお母さんグループが加工したジャムを味わえる。
「受け取っていただく皆さんのことを思って作り、母さんが家族に送るのと同じ気持ちで安全・安心なものを選んだ『おふくろの味』。いい意味で何も考えず、ゆっくりのんびり食べてもらえればうれしい」。中川さんは、そんな思いを伝えたいと話してくれた。

ぜひ訪ねて

作手地区で生まれ育ち、大学進学を機に名古屋へ出た中川さん。そのままいったん就職したが「土がない名古屋では、季節を感じられなかった」。都会暮らしが長くなるにつれ、故郷への恋しさが募っていった。
Uターンしてきた理由の一つは、自然の発する「匂い」だという。「作手では梅雨の時期に生の草木の匂いが、秋には稲刈りの乾いた匂いがする」と表現する。
仕送り商品などを通じて作手地区の自然に興味が湧いたら、ぜひ一度、足を運んでもらいたいと考えている。「窓を開けて車で走らせるだけで気持ちいい。散策に来て、ただ歩くだけで気晴らしになります」。

編集後記

つくで手作り村の代表の竹下さんにインタビューした。
竹下さんは愛知県豊田市出身で、結婚後作手地区に移住。最初に来た時は、空気がきれいで、星がたくさん見れて、自然が豊かなことを鮮明に覚えている。
そしてこの道の駅を、「世代の異なる女性従業員がいて、味を引き継いでいけることが特徴」と語っている。道の駅になる前に設立された勇気工房で働いていた地元のおかあさんたちの想いは、「子供や孫に安心なものを食べさせたい」。そうした想いを竹下さんが引継ぎ、さらに中川さんたち若い人に引き継いでいる。
竹下さんから皆様に一言。「お客様に、作手地区の豊かな自然の中で育った野菜を食べて、心も体も元気になってくれればうれしいです。そして、受け継いできたふるさとの味を味わってもらい、つくで手作り村のファンになってもらえるとうれしいです」。

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