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茶臼山高原の芝桜【豊根村】
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道の駅つくで手作り村「作手高原の朝ごはんセット」事業者:有限会社つくで手作り村 勇気工房 鈴木亜季さん 齋藤友紀菜さん
道の駅つくで手作り村(以下、つくで手作り村)は平成14年に開業し満20年になる。その中の加工施設「勇気工房」で、鈴木さん、齋藤さんが熱心に作手の味を学んでいた。
つくで手作り村ができる前から作手地区では、地元のお母さんたちが作手の味を継承していこうと地元産品を手作りで商品化していた。つくで手作り村は、そのレシピを開駅の際に引き継ぎ、昔の味を守り伝えている。
そんな作手文化の味が、今では鈴木さんや斎藤さんのような移住してきた若い世代に受け継がれている。
鈴木さんは愛知県豊橋市出身、齋藤さんは埼玉県出身だ。二人は以前住んでいた沖縄県の行きつけの店で出会い、今では同じ作手地区黒瀬集落でそれぞれ空き家を借りて住んでいる。
作手は標高約550mの高原地域だが、開けた土地に田んぼが広がっていて、街並みがのどかで落ち着く場所だ。
「沖縄は魅力があるが、作手にはまた違った魅力がある」と二人は言う。移住者だからこそ、作手地区は食材の宝庫であると感じることができる。春になると庭の採れたてのワラビ、コシアブラをてんぷらにできる。お米、山菜、野菜、果物、卵、牛乳も地元のものが手に入る。逆に海産物は少ないが、食べたいと思えば隣の豊川市に30分くらいで買い物に行くこともできる。
名古屋、岡崎、豊橋も1時間圏内なので、スーパーや病院、学校、働く場も困らない。
二人は「便利な田舎」と理想の田舎暮らしを満喫している。
二人の住む黒瀬集落は住民の半分ほどが移住者だ。そんな地域だからこそ、知らない人がいれば話しかけるなど、とてもフレンドリー。
「若い人や子供が少ないのでみんな親切にしてくれる。小学校も一人ひとり見てもらえ、アットホームなところがすごくいい」と鈴木さんは語る。
また齋藤さんは、作手で畑を借りて野菜を育てているが、地元の人が「今年は霜が多いから、まだ種付けはだめだよ」など長年の勘を全部教えてくれるという。「お金に換えられない価値がここにはある」と齋藤さんは感じている。
鈴木さんと齋藤さんは、地元食材の加工に興味を持ち、5年前から勇気工房で働いている。もともと奥三河では、夏しか取れない野菜を保存して、冬に食べる保存食の文化があり、勇気工房でもそうした商品を手作りしている。
中でも特にこだわっているのが味噌づくりだ。
例えば「金山寺みそ」は、家内みそ(うちみそ)ともいい、奥三河の各家庭でつくられ、それぞれに味付けや入れる野菜が異なる。
勇気工房の「金山寺みそ」は、作手等でとれたごぼう、にんじん、茄子を塩漬けし、それに地元のショウガと、隣の岡崎市にある麹専門店から仕入れた麦麹を混ぜるなど、とことん地元の食材にこだわる。味付けはしょうゆ、中双糖、みりん、水あめなど、受け継いだ初代のレシピのままで、塩辛い中にも甘みがある
地元の味がつまったこだわりの「金山寺みそ」は、つくで手作り村からのしおくり商品「作手高原の朝ごはんセット」でお届けする。このセットでは、作手地区を中心に栽培される「幻の米」ミネアサヒや、味付け海苔、地区産の黒米(もち米)がセットになっており、朝からごはんが進むこと間違いなしだ。
「金山寺みそ」はそのままごはんと一緒に食べても美味しいが、鈴木さんと齋藤さんはちょっと違った食べ方を教えてくれた。「餃子の皮にチーズと『金山寺みそ』を載せてチーズトーストにしたり、チャーハンに入れたりしても美味しいですよ」
長年受け継がれてきた作手地区の地元の味だが、ご飯のお供ではない新しい食べ方も楽しんでみてはいかがだろうか。
鈴木さんと齋藤さんは、「自分のおばあちゃんと一緒に働いている感じで楽しい。『金山寺みそ』も食べたことはあったが、作り方まで知らなかった。自分でつくれるんだというのが知れて楽しい」と語る。
最近では、もっと商品を増やしたいと二人が発案したピクルスや塩麹などが、勇気工房の定番商品になっている。そんな若い二人と働くことが、地元のお母さんたちにもいい刺激になっているようだ。
鈴木さん、齋藤さんが勇気工房で働いて思うのは「自分が食べている郷土の物は大事にしてほしい」ということ。「もし家や近隣で郷土食材を作っているのであれば、ぜひ参加してほしい。参加することで、家の味も守られ、地域の文化も守られる」
彼女らはいう。「外に出てしまうと地元の事は忘れがちになるが、帰ってくる場所があることを覚えておいてほしいし、地元のもの、地元の味を食べて『帰りたいな』とふるさとを思い出してほしい。自分たちが作った商品を食べて、お客様がそういう気持ちに繋がれば、生産者としてとてもうれしいです」
地元で受け継がれる手作りの味に触れ、あなたの「ふるさと」をぜひ感じてほしい。
つくで手作り村の代表の竹下さんにインタビューした。
鈴木さんと齋藤さんが道の駅で働き始めたときは、タケノコの茹で方も知らなかったが、知らないこと自体を面白いと感じてくれている。昔は家庭でおばあちゃんから教えてもらえていたが、今では勇気工房がその役割を果たしている。
竹下さんから一言。「地元の食材や地元の人との関係を大事につなげてもらうことがこの道の駅のコンセプトです。人口が減少する中、移住者の方や地元出身者の方に道の駅で学んでもらったり、味わって覚えていただき、それを家庭などで広めて地元の味を受け継いでもらえるとうれしいです」
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