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竹島【蒲郡市】

うみエリア 事業者の声

田原市

自慢の野菜、目でも味わって
~彩りに心躍る加工法を探究~

道の駅田原めっくんはうす「もぐもぐ工房オリジナル商品セット」事業者:株式会社田原観光情報サービスセンター 商品開発責任者 藤井恵美子さん

農業生産トップ常連の田原

「紫キャベツに酢を足すと鮮やかなピンクになる」「ダイコンにトウガラシを入れたら、きれいなオレンジ色がにじんできた」―。道の駅「田原めっくんはうす」で商品開発を担当する藤井恵美子さんは、野菜のこととなると好奇心が尽きないようだ。
野菜・花き生産や畜産が盛んで、市町村別の農業産出額で全国トップの常連となっている田原市。市内の農家に生まれた藤井さんは、形が悪いなどの理由で市場に出回らない作物を活用したいとの思いから、野菜の加工品開発に力を注いできた。
道の駅内の加工施設「めっくんもぐもぐ工房」で藤井さんが最近熱心に取り組んでいるのは、野菜を材料にしたドレッシング作りだ。何度も試作を繰り返すことで納得のいく商品が出来上がった。
「素材の色を出すことにこだわった。見るだけでうれしい、そんな高揚を野菜から感じてもらいたい」。しおくりん商品に込めた思いなどを聞かせてもらった。

規格外の作物を華やかに

栄養士、調理師の資格を持つ藤井さんは、道の駅で働く以前から野菜の加工に携わってきた。傷がある、大き過ぎるといった理由で規格外の作物が捨てられていくのを、そのままにはできなかったそうだ。
まずはミニトマトをケーキの材料にしようとしたが水気が多い。そのミニトマトを試しに乾燥させたのをきっかけに、さまざまな野菜を乾かすことに挑戦した。
「温度や時間、カットの方法によって色や形が変わってくるのが不思議だった。どう仕上がるのかが楽しみで、ありとあらゆる野菜を乾燥させた」。例えばダイコンやニンジンを輪切りにすると、乾燥機の中で波打つように縮んで花のような見た目になった。
こうして、さまざまな野菜をスナック感覚で食べられる「ドライサラダ」が完成。ヘルシーさと華やかさを兼ね備えた商品として人気を集め、藤井さんが野菜加工にのめり込む原点となった。

ドレッシングで見栄えも保存も

2018年の道の駅リニューアルで「もぐもぐ工房」が新設されると、藤井さんは「ぜひ勉強したい」とパートでの勤務を開始。商品の試作やレシピ作りを任され、週3日程度通っている。
ここでもやはり素材の色を生かすよう心掛けている。一方で、お土産用として常温保存できるようにすることも大事な要素だ。
その両方を満たす商品として、2年前に発売したのが「田原野彩ドレッシング」だ。酢で味を調えるドレッシングは未開封だと日持ちがする上、着色料を一切使わなくても、素材によってさまざまな色と味を出せる。
「紫キャベツ」ならピンク色、トウガラシ入りの「ピリ辛大根」ならオレンジ色、「人参」「トウモロコシ」なら黄色に仕上がり、並べるだけで売り場の雰囲気が明るくなった。
「フランス料理のソースのように、皿をドレッシングで飾っても楽しめる。パーティーなどで使ってもらえる」
季節限定商品が多いのも、このドレッシングの特徴だ。地元農家から持ち込まれる野菜に合わせて、次々とレシピを考えていく。
「工房の成り立ちとして『こんな商品を作りたいから、あの野菜を仕入れてくる』ということにはならない。『たくさんできて売り切れない』『形が悪くて使いづらい』という農家さんの事情に応じて作ることが多い」

試行錯誤から生まれた万能味噌

ドレッシングだけでなく「ごぼう味噌」も、そんな試行錯誤から生まれた。ゴボウは秋から冬にかけて旬を迎えるが、身が細かったり曲がりくねったりしたものは、そのままだと売り物にしづらい。
何とか利用しようと、まずは乾燥させて保存。使い切れなさそうな野菜は乾燥したり、冷凍したりしておくことで、使い道を考える時間を稼ぐのだ。
最初はニンジンなどと一緒に福神漬けにしてみたが、量をさばききれない。加工法を工夫していった結果、5ミリ程度で角切りにし、甘辛い味噌に漬け込んだ今の商品が出来上がった。
ざくざく、ごりごりとした素材の食感を楽しめる。味噌は4種類をブレンドして、ショウガ、ゴマも加えた。「炒め物に使ったり、のり巻きの具にしたりと万能です。肉抜きの『ヘルシーな肉味噌』といった感覚で使える」

商品全て、工房で手作り

もぐもぐ工房は道の駅1階フロアの一角にある。決して大きな施設ではないが、乾燥機だけでなく急速冷凍機、真空包装機、蒸す・焼く・解凍といった作業ができるスチームコンベクションなど、加工用設備がそろっているのが藤井さんには頼もしい。
しおくりん東三河で今回販売する「もぐもぐ工房オリジナル商品セット」は、最初から最後までスタッフが手作りした品ばかりだ。「しらすと大葉のふりかけ」「甘夏マーマレード」の瓶詰めや「伊良湖黒牛。カレー」のレトルト包装まで工房内で完結する。カレーなら牛の肉を腱からそぐところから、ここで作業しているそうだ。
工房の調理スペースは、壁一枚を隔てて特産品売り場と隣接している。道の駅の来店客は大きなガラス窓を通して、藤井さんらスタッフが丁寧に調理する姿を見学できる。

田原の産物、色・食感まで味わって

田原市は太平洋と三河湾の間に突き出した渥美半島にあり、キャベツ、ブロッコリー、レタス、トウモロコシ、トマトと多くの作物が栽培されている。
「年中通してこれだけ野菜が収穫できるところは少ないんじゃないか」。藤井さんは「海から風が吹いて、太陽もすごく当たる。渥美半島はイタリアみたいだねとよく言われるが、本当に恵まれた環境」と話す。
そして、渥美半島は、1968年に渥美半島を横断する豊川用水が整備されてから、日本有数の農業地域へと変貌したが、藤井さんは「幼少の農業が盛んでない頃の“地元の野菜を大切にする”想いが、今の活動の原点になっている」と話す。
しおくり商品には、そんな藤井さんの野菜愛がたっぷり込められている。「味だけでなく色、それから食感。全てを田原の味だと思ってもらえるとうれしい。目でも野菜を味わってほしい」

編集後記

道の駅に紫キャベツを出荷している農家の鈴木さんにインタビューした。鈴木さんは、紫キャベツのほか、一口サイズのブロッコリー、様々な色彩のカリフラワー、凹凸のあるサボイキャベツなど珍しい野菜を生産し、主に道の駅の産直所などに新鮮な野菜を届けている。野菜が無駄になることもあるが、紫キャベツはドレッシングにして調味料として味わってもらえるのでとてもうれしい。
鈴木さんから一言。「まさか紫キャベツがドレッシングになるとは思わなかった。ドレッシングにすると色目がピンクになってとても鮮やかで、一般の人に紫キャベツを知ってもらい、野菜の方も食べてもらえるとうれしい」

道の駅の金子さんにもインタビューした。もぐもぐ工房のスタッフの皆さんは、全員地元のお母さんたちだ。中には、田原市で親族のお弁当屋を手伝っている方もいて、味付けのセンスがあり、みんなで和気あいあいと知恵を出し合っている。しおくり商品は、そうした田原のお母さんのアイディアがつまった、風土の味を感じる商品ばかりだ。
金子さんから皆様に一言。「田原の食材のみを使った田原めっくんはうすのオリジナル商品です。生産者の想い、加工場のお母さんの想いがつまった商品であり、どれもこれもおいしいです。田原のお母さんの味として、野菜がきらいなお子様にも味わってもらえるとうれしいです」

しおくりん東三河

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