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茶臼山高原の芝桜【豊根村】

やまエリア 事業者の声

豊根村

“日本一人口が少ない村”の食文化を伝える「栃餅」「柚子餅」
~「栃餅」「柚子餅」で冬の田舎暮らしを感じてほしい~

道の駅豊根グリーンポート宮嶋「ふるさとの冬-栃餅、柚子餅」事業者:一般社団法人とみやまの里 丸木良二さん 花のおもてなし小屋 中村キミエさん

東三河最北部の「富山(とみやま)地区」

東三河の最北部に位置する豊根村富山地区は、2023年1月現在、人口58人、世帯数32戸という小さな集落である。2005年10月に豊根村と合併する前の旧富山村は、日本の「離島以外の市町村の中で最も人口が少ない村」と知られていた。今では当時の人口(208人)の1/4程度にまで減少している。

富山地区では冬に蓄える食材として餅づくりが昔から盛んだ。今回、富山地区で「栃餅」を製造するとみやまの里の丸木さんと、「柚子餅」を製造する花のおもてなし小屋の中村さんに話を伺った。

富山地区で古くから伝わる「栃餅」

とみやまの里は、富山地区での観光施設の経営、特産品製造などを行っている。特産品の一つには、富山地区で採れる麦や雑穀、木の実を入れた餅があり、特に栃の実を入れた栃餅は古くから伝わる食材だ。
栃餅づくりを担当する丸木さんは、「栃餅は、山で採った栃の実を乾かして製品にするので、とても時間がかかります。その分おいしい仕上がりとなっていますので、ぜひお試しください。」と語った。

富山地区特産の「柚子」を使ったお茶菓子づくり

富山地区は比較的温暖であり、そうした気候を活かして昔から柚子の栽培が盛んだ。その特産の柚子を使った商品を製造しているのが花のおもてなし小屋の中村さんだ。
中村さんは、大分県竹田市出身で、愛知県内の病院で看護師として勤めていたが、地域医療に携わりたいという想いで、豊根村にデイサービスの看護師として50歳過ぎに移住してきた。そして、デイサービスや地域医療に携わる中で、地域のものを広めたいと柚子に着目した商品づくりを考え、その中で自身の趣味である茶道の菓子を作るようになったという。
 中村さんから一言。「「柚子餅」を作り始めて7年になるが、初めて作った餅を地域のお年寄りに食べてもらったところ「すばらしい」と好評でした。お餅を縦長にしているのは、お湯呑の横に菓子としておくと素敵にみえるから。他には「柚子ゼリー」や「柚子羊羹」などもお茶菓子として作っています。」

中村さんは、柚子の甘さや香りをもっと出した「柚子餅」を作りたいと思っており、今後も改良を続けるという。「「柚子餅」を極めたいと思っているので、どう工夫したらいいかアドバイスをしていただける方とつながりが持てると良いなと思います。」と中村さんは真剣に話してくれた。

「富山地区」を応援してほしい

丸木さん、中村さんに今の富山地区の暮らしを語ってもらった。
丸木さんは、旧富山村の時代は人口200人程度でも小中学校や保育園もあり、観光客も来るなど活気があったと語る。しかし合併して10年後の2015年に小中学校が廃校となってから、若い人が一気に流出していったという。

丸木さんは「富山地区は、地域で自給自足の中で暮らすことが大事であり、その核が役場であり学校であった。特に学校が無くなると、運動会、文化発表会など地域の行事や交流がなくなり、地域のコミュニティが希薄になっていく。また地域の人口が減るとその分の消費がなくなり、栃餅など地域の商品も買ってくれる人が減る。だから、富山地区にゆかりのある方は、栃餅を食べてなつかしく思って頂き応援してくれるとうれしい。そしてすぐに来れるところでないが、なにか機会があれば来てくれるとうれしい。」と現状を話してくれた。

「富山地区」で田舎暮らしを満喫

中村さんは、富山地区に移住して、柚子餅などの加工や織物を製造する「花工房」と、お客様をおもてなしする茶室の「花のおもてなし小屋」を作った。中村さんは、そこで田舎暮らしを満喫しているという。
中村さんの楽しみの一つは、もともとの趣味であった”織物”だ。中村さんは紫根などを自分で育て、糸を染色して機織り機で作っている。また過去には、富山地区の熊野神社の氏子と相談し、「御神楽(みかぐら)祭り」をモチーフにデザインした手拭いを作ったそう。

そして楽しみのもう一つは”お茶”だ。中村さんは販売されているお茶だけでなく、地域の琵琶の葉や桑の葉を取ってお茶にするなどして楽しんでいる。現在、豊根村観光協会の「とよね村里山体験Book」でも紹介されているが、予約してもらえれば茶室でおもてなしするという。中村さんは、「実際にどんなところか見に来ていただき、お茶を飲んで田舎の空気を感じてもらえるとうれしい。」と話す。

田舎で皆さんと交流したい

中村さんは、富山地区での田舎暮らしは、自分の好きなことができて、自然がたくさんあり空気がきれいで気持ちがなごむと語る。そしてなによりも、地域の人が親切で、外から来た自分に対しても応援してもらったからこそ、ここまで成長できたという。

中村さんは、「富山という田舎で、特産の柚子を使って頑張っている人がいることを知って、お菓子を食べてもらう、そして一度来てもらって交流できるとうれしいです。おもてなし小屋で皆さんとお会いするのを楽しみにしています。」と語ってくれた。

編集後記

道の駅豊根グリーンポート宮嶋の石田さんにインタビューした。
「栃餅」は、栃の実の風味を残しつつ苦みを抑えて製造するため、醤油ではなく、砂糖や餡子で甘くして食べたり、おしるこなどで食べるのがお薦めだという。そして「柚子餅」は、砂糖と塩をつけると、ゆずの香りが感じられ、少し甘目のデザート風に楽しめるとのこと。
石田さんから一言。「豊根では、こうした食材を秋から冬に仕込んで冬に食べて、新しい春を待つことが風習です。「栃餅」、「柚子餅」でふるさとの冬を感じてもらえるとうれしいです。」

しおくりん東三河

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